マウスコンピューターのノートPC「m-Book Tシリーズ」は、同社の一般向けノートPCのなかではハイエンドに位置づけられている製品。15.6型の筐体に、第8世代CoreプロセッサのCore i7-8750HとGeForce GTX 1060を組み合わせている。
同社は一般向けのほか、ゲーミング向け、クリエイター向けとカテゴリを分けて製品展開している。本機はゲーミング向けの製品とはされていないものの、性能的にはビジネスからゲーミングまで幅広い用途に対応できる。
筆者は元GAME Watchの記者で、今でもゲームメディアで執筆しているが、使用しているノートPCはゲーミング向けではなく、同社の一般向けの製品だ。自宅にデスクトップPCがあり、ノートはゲームがそれなりに動かせる程度でよかったので、そのときに具合がよかったものを選んだ。たとえゲーム用のPCがほしいとしても、一般向けとされている製品にもゲームに対応できるものはある。
さて、今回は「m-Book Tシリーズ」のなかから、シリーズ内ではスタンダートPCとされるモデル「m-Book T510SN-M2SH2」をお借りしたので、使用感をお伝えしたい。
CPUがCore i7-8750H、GPUがGeForce GTX 1060(6GB)、メインメモリは16GBで、最新のPCゲームにも十分対応できる構成となっている。またストレージがM.2のSSDとSATAのHDDという2ドライブ構成になっているので、大容量のゲームやプレイ動画の録画などにも対応できる。ただし光学ドライブは内蔵不可。
端子部は、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0×3、HDMI、Mini DisplayPort、Gigabit Ethernet、3.5mmヘッドフォン/マイク複合ポート。無線はIEEE 802.11ac/a/b/g/n(最大433Mbps)およびBluetooth 5.0となっている。
本体サイズは、386×262×26.3mm(幅×奥行き×高さ)、突起部を含めると386×262×30.6mm(同)。重量は約2.6kg。15.6型ノートPCとしては標準的なサイズで、キーボードもテンキーありの仕様となっている。デスクトップPCの代用としても十分活用できるだろう。
同シリーズはモデル違いでもCPUとGPUは共通。違いはストレージとメモリで、最下位のモデルではメモリ8GB、ストレージは256GB SSDのみで、価格は139,800円。最上位モデルはメモリ32GB、512GB SSD(PCIe接続)、2TB HDDとなり、価格は199,800円。いずれもカスタマイズに対応しており、1TBのSSDも選択できる。
15.6型のディスプレイは、正面から見ると自然な色合いだが、角度をつけて見たときに少し色味が変化して見える。視野角は広く、色相の反転もないので、絶望的な破綻ではないのだが、斜めから見ることがあると少し気になるかもしれない。
キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプで、ファンクションキー以外はフルサイズ。キーはゴムのような感触でしっかりしたクリック感がありつつ、打鍵音はひかえめなので、オフィスワークでも快適に使えるだろう。ただし「\」キーが左下、「\」キーがスペースキー等がある最下段という妙な位置にある。最近はあまり使うことのないキーかもしれないが、フォルダ指定を手入力するときなどには確実に戸惑う。
キーボードバックライトは、キーの裏に白色LEDが仕込まれており、さらにキーの一部が半透明の青色になっているので、青い光が漏れるように光る。色は単色で変えられないが、Fnキー+スペースキーで、バックライトオフ、弱、強の3段階に変更できる。
スピーカーはキーボードの上部にある。音質は、高音が少しキンキン響くのと、全体的にこもり気味な印象。ただサイズのわりには低音も出ていて、とくに人の声は聞きやすいので、全体のバランスとしては意外と悪くない。音楽鑑賞用に向くとは言えないまでも、ゲームや動画視聴なら、そのままで聞いてもさほど不満が出ることはなさそうだ。
騒音に関しては、低負荷時にはほぼ無音で、ブラウジングやテキスト入力程度ならまったく気になることはない。3Dゲーム等の高負荷ではファンの音が聞こえてくるものの、ゲームの音を出してしまえばさほど気にならない程度に収まっている。排気は後方からで、熱は結構出ているので、後方に物を置いて空気の流れをふさいだりしないようには注意が必要だ。
気になるのは熱処理のほうだ。低負荷時に熱が気になることはないのだが、高負荷状態を続けると、キーボード全体が少し熱を持ってくる。キートップが温まってくるので、ヘビーなゲームを連続で遊ぶさいには気になる人もいるだろう。なお温かくなるのはキーボード付近だけで、リストレスト部には熱は伝わってきていない。
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、フルHDで「やや快適」、4Kで「動作困難」という評価が出た。外部の4Kディスプレイに接続するのであれば画質調整等が必要になりそうだが、搭載されるフルHDディスプレイで使用するかぎりは、最新のゲームでも高画質設定で遊べるものが多そうだ。
またベンチマークテストのデータを見ていると、CPU、GPUともに性能が安定しているのがわかる。CPUが高負荷のさいに100度近くに達してわずかにスロットリングする場面はあるが、GPUは70℃強までで安定している。筐体の冷却性能に余裕があるのだろう。
ストレージは「CrystalDiskMark 6.0.1」で計測した。今回使われていたのは、ADATA製SSD「SU800NS38」と、Seagate製HDD「ST1000LM048-2E7172」。SSDはSATA3接続としてはほぼ限界値の性能が出ている。実際の使用でも、起動から高速で快適だ。
バッテリ持続時間は「BBench」で計測。ディスプレイの明るさ40%の状態で、キーストロークとWeb巡回あり(Wi-Fi接続)で約4時間58分、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」をループで動かしたときには約2時間15分動作した(NVIDIA Battery Boostはオフだが、ACアダプタ抜去時に性能が低下する現象が見られたため参考値)。重量的にモバイル用途にはなりにくいことを思えば、持続時間としては十分であろう。
オフィスワークなどの軽作業用途としては、静かで性能も十分あり、快適そのものだ。バックライトを切ってしまえば、発光する部分もほとんどなく、オフィスでも馴染むデザインと言える。持ち運びに便利なサイズとは言えないが、ちょっとしたプレゼンに持ち出す程度ならバッテリも十分足りる。
SSDとHDDの2ドライブ構成で、ストレージには余裕があるので、ホームユースで動画や写真などを管理するのも楽にできる。重さは2.4kgとノートPCとしてはやや大型だが、家やオフィスでときどき動かす程度であれば苦労はしない。残念な点があるとすれば、一部のキーの配置くらいで、そこが許せれば満足度は高い。
ゲーム用途で見ると、性能のわりには騒音が少なく済んでいる。15.6型で光学ドライブが内蔵不可とあって、冷却にもそれなりに余裕があるのかもしれない。とはいえキーボードに熱が伝わるのはゲームプレイには大きくマイナスになる。ゲームパッドで遊ぶならなんら問題ないが、FPSなどでずっとキーにふれていると不快感はあるだろう。
ゲーミングPCにもいろいろあるので一概には言えないが、ゲーミングPCはゲームプレイ時に対する配慮があるものが多い。たとえば同社のゲーミングPC「G-Tune」であれば、キーボードバックライトの明るさ調整がより細かかったり、キーボードマクロが使えたり、液晶がIPSパネル指定だったりと、スペックシートで確認できる部分以外にも違いがある。そういった機能面の違いも比較して検討していただきたい。
1台であらゆることをやりたいというニーズにこたえるには、ハイスペックノートPCが最適だ。それでいて、なるべく余計なソフトが入っておらず、仕事で持ち出しても違和感がない外見で、ディスプレイサイズもそれなりにほしくて、価格もある程度ひかえ目で……というニーズは割と多いと思う。いろいろシンプルだけれど高性能を求める人に、本機は長く使える1台としてマッチするはずだ。
同社は一般向けのほか、ゲーミング向け、クリエイター向けとカテゴリを分けて製品展開している。本機はゲーミング向けの製品とはされていないものの、性能的にはビジネスからゲーミングまで幅広い用途に対応できる。
筆者は元GAME Watchの記者で、今でもゲームメディアで執筆しているが、使用しているノートPCはゲーミング向けではなく、同社の一般向けの製品だ。自宅にデスクトップPCがあり、ノートはゲームがそれなりに動かせる程度でよかったので、そのときに具合がよかったものを選んだ。たとえゲーム用のPCがほしいとしても、一般向けとされている製品にもゲームに対応できるものはある。
さて、今回は「m-Book Tシリーズ」のなかから、シリーズ内ではスタンダートPCとされるモデル「m-Book T510SN-M2SH2」をお借りしたので、使用感をお伝えしたい。
2ドライブでデスクトップPCに負けない利便性
「m-Book T510SN-M2SH2」のスペックは下記のとおり。【表1】m-Book T510SN-M2SH2 | |
---|---|
CPU | Core i7-8750H |
GPU | GeForce GTX 1060(6GB) |
メモリ | 16GB DDR4-2400(8GB×2) |
SSD | 256GB(M.2 SATA3) |
HDD | 1TB |
ディスプレイ | 15.6型非光沢液晶(1,920×1,080ドット) |
OS | Windows 10 Home 64bit |
税別価格 | 154,800円 |
端子部は、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0×3、HDMI、Mini DisplayPort、Gigabit Ethernet、3.5mmヘッドフォン/マイク複合ポート。無線はIEEE 802.11ac/a/b/g/n(最大433Mbps)およびBluetooth 5.0となっている。
本体サイズは、386×262×26.3mm(幅×奥行き×高さ)、突起部を含めると386×262×30.6mm(同)。重量は約2.6kg。15.6型ノートPCとしては標準的なサイズで、キーボードもテンキーありの仕様となっている。デスクトップPCの代用としても十分活用できるだろう。
同シリーズはモデル違いでもCPUとGPUは共通。違いはストレージとメモリで、最下位のモデルではメモリ8GB、ストレージは256GB SSDのみで、価格は139,800円。最上位モデルはメモリ32GB、512GB SSD(PCIe接続)、2TB HDDとなり、価格は199,800円。いずれもカスタマイズに対応しており、1TBのSSDも選択できる。
落ち着いたブラックの筐体。熱処理には注意が必要
本機の外見はじつにシンプル。天面はほぼ平面で、色はマットブラックで統一されている。あとはひかえ目にメーカーロゴが入っているだけだ。ディスプレイを開いてみると、三角形でメタルカラーの電源ボタンが目を引くのと、キーボードバックライトでひかえめに光る程度で、あとはブラックで統一されている。15.6型のディスプレイは、正面から見ると自然な色合いだが、角度をつけて見たときに少し色味が変化して見える。視野角は広く、色相の反転もないので、絶望的な破綻ではないのだが、斜めから見ることがあると少し気になるかもしれない。
キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプで、ファンクションキー以外はフルサイズ。キーはゴムのような感触でしっかりしたクリック感がありつつ、打鍵音はひかえめなので、オフィスワークでも快適に使えるだろう。ただし「\」キーが左下、「\」キーがスペースキー等がある最下段という妙な位置にある。最近はあまり使うことのないキーかもしれないが、フォルダ指定を手入力するときなどには確実に戸惑う。
キーボードバックライトは、キーの裏に白色LEDが仕込まれており、さらにキーの一部が半透明の青色になっているので、青い光が漏れるように光る。色は単色で変えられないが、Fnキー+スペースキーで、バックライトオフ、弱、強の3段階に変更できる。
スピーカーはキーボードの上部にある。音質は、高音が少しキンキン響くのと、全体的にこもり気味な印象。ただサイズのわりには低音も出ていて、とくに人の声は聞きやすいので、全体のバランスとしては意外と悪くない。音楽鑑賞用に向くとは言えないまでも、ゲームや動画視聴なら、そのままで聞いてもさほど不満が出ることはなさそうだ。
騒音に関しては、低負荷時にはほぼ無音で、ブラウジングやテキスト入力程度ならまったく気になることはない。3Dゲーム等の高負荷ではファンの音が聞こえてくるものの、ゲームの音を出してしまえばさほど気にならない程度に収まっている。排気は後方からで、熱は結構出ているので、後方に物を置いて空気の流れをふさいだりしないようには注意が必要だ。
気になるのは熱処理のほうだ。低負荷時に熱が気になることはないのだが、高負荷状態を続けると、キーボード全体が少し熱を持ってくる。キートップが温まってくるので、ヘビーなゲームを連続で遊ぶさいには気になる人もいるだろう。なお温かくなるのはキーボード付近だけで、リストレスト部には熱は伝わってきていない。
高負荷でも安定した性能を発揮
それでは各種ベンチマークソフトのスコアを見ていこう。利用したのは、「3DMark v2.5.5029」、「VRMark v1.3.2020」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」、「World of Tanks enCore」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」、「CINEBENCH R15」、「CrystalDiskMark 6.0.1」、「BBench」。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、フルHDで「やや快適」、4Kで「動作困難」という評価が出た。外部の4Kディスプレイに接続するのであれば画質調整等が必要になりそうだが、搭載されるフルHDディスプレイで使用するかぎりは、最新のゲームでも高画質設定で遊べるものが多そうだ。
またベンチマークテストのデータを見ていると、CPU、GPUともに性能が安定しているのがわかる。CPUが高負荷のさいに100度近くに達してわずかにスロットリングする場面はあるが、GPUは70℃強までで安定している。筐体の冷却性能に余裕があるのだろう。
【表2】ベンチマークスコア | |
---|---|
3DMark v2.5.5029 - Time Spy | |
Score | 3,943 |
Graphics score | 3,725 |
CPU test | 5,914 |
3DMark v2.5.5029 - Fire Strike | |
Score | 10,232 |
Graphics score | 11,541 |
Physics score | 15,307 |
Combined score | 4,359 |
3DMark v2.5.5029 - Sky Diver | |
Score | 28,565 |
Graphics score | 37,909 |
Physics score | 13,265 |
Combined score | 25,539 |
3DMark v2.5.5029 - Cloud Gate | |
Score | 31,104 |
Graphics score | 80,141 |
Physics score | 9,901 |
3DMark v2.5.5029 - Ice Storm Extreme | |
Score | 149,876 |
Graphics score | 279,397 |
Physics score | 57,150 |
VRMark v1.3.2020 - Orange Room | |
Score | 6,518 |
Average frame rate | 142.09fps |
VRMark v1.3.2020 - Cyan Room | |
Score | 3,325 |
Average frame rate | 72.48fps |
VRMark v1.3.2020 - Blue Room | |
Score | 1,120 |
Average frame rate | 24.41fps |
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(高品質) | |
3,840×2,160ドット | 1,823 |
1,920×1,080ドット | 4,654 |
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク(最高品質) | |
3,840×2,160ドット | 3,281 |
1,920×1,080ドット | 11,240 |
World of Tanks enCore(超高) | |
1,920×1,080ドット | 16,007 |
ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4(簡易設定6) | |
1,920×1,080ドット | 47,667 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 120.14fps |
CPU | 1,082cb |
CPU(Single Core) | 174cb |
バッテリ持続時間は「BBench」で計測。ディスプレイの明るさ40%の状態で、キーストロークとWeb巡回あり(Wi-Fi接続)で約4時間58分、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」をループで動かしたときには約2時間15分動作した(NVIDIA Battery Boostはオフだが、ACアダプタ抜去時に性能が低下する現象が見られたため参考値)。重量的にモバイル用途にはなりにくいことを思えば、持続時間としては十分であろう。
シンプルな高性能機をリーズナブルに求める
まとめとして、今回はゲームもできる一般向けPCということで、軽作業用途とゲーム用途の両方で評価したい。オフィスワークなどの軽作業用途としては、静かで性能も十分あり、快適そのものだ。バックライトを切ってしまえば、発光する部分もほとんどなく、オフィスでも馴染むデザインと言える。持ち運びに便利なサイズとは言えないが、ちょっとしたプレゼンに持ち出す程度ならバッテリも十分足りる。
SSDとHDDの2ドライブ構成で、ストレージには余裕があるので、ホームユースで動画や写真などを管理するのも楽にできる。重さは2.4kgとノートPCとしてはやや大型だが、家やオフィスでときどき動かす程度であれば苦労はしない。残念な点があるとすれば、一部のキーの配置くらいで、そこが許せれば満足度は高い。
ゲーム用途で見ると、性能のわりには騒音が少なく済んでいる。15.6型で光学ドライブが内蔵不可とあって、冷却にもそれなりに余裕があるのかもしれない。とはいえキーボードに熱が伝わるのはゲームプレイには大きくマイナスになる。ゲームパッドで遊ぶならなんら問題ないが、FPSなどでずっとキーにふれていると不快感はあるだろう。
ゲーミングPCにもいろいろあるので一概には言えないが、ゲーミングPCはゲームプレイ時に対する配慮があるものが多い。たとえば同社のゲーミングPC「G-Tune」であれば、キーボードバックライトの明るさ調整がより細かかったり、キーボードマクロが使えたり、液晶がIPSパネル指定だったりと、スペックシートで確認できる部分以外にも違いがある。そういった機能面の違いも比較して検討していただきたい。
1台であらゆることをやりたいというニーズにこたえるには、ハイスペックノートPCが最適だ。それでいて、なるべく余計なソフトが入っておらず、仕事で持ち出しても違和感がない外見で、ディスプレイサイズもそれなりにほしくて、価格もある程度ひかえ目で……というニーズは割と多いと思う。いろいろシンプルだけれど高性能を求める人に、本機は長く使える1台としてマッチするはずだ。
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