KINGMASから販売されている「指紋USBメモリー」は、文字通り、指紋認証することで、データ領域へのアクセスが可能になるUSBメモリーだ。ちょっとしたデータを持ち運んだり、やりとりするのに便利なUSBメモリーが、安心して使えるようになる。
■セキュリティUSBメモリーの認証方式は、パスコードから指紋へ?
最近では、どこでもネットワークにつながる環境が増えてきたこともあり、データはすっかりクラウド経由でダウンロードすることが多くなった。
仕事のデータのやりとりもそうだし、打ち合わせの資料を持ち歩くときもクラウドに保存しておいて現地でダウンロードするという使い方が、すっかり定着した。
しかしながら、打ち合わせの場所によっては、LTEの受信状況があまりよくなかったり、やたらとWi-Fiが遅かったりすることも珍しくない状況で、必要なデータをなかなかダウンロードできなかったりもする。
打ち合わせの最中に、とっさに必要になったデータをダウンロードしようとしても、なかなかダウンロードが完了せず、「ちょっとまってください……」などと気まずい空気が流れる、という状況を経験をした人も少なくないだろう。
というわけで、筆者自身も重要な打ち合わせのときには、以前の本連載でも触れたセンチュリーのパスコード入力型USBメモリー「Lock U(CSUL16G)」を使って、データを持ち運ぶようにしてきた。
本体のボタンを使ってパスコードを入力すると、USBメモリーのデータ領域にアクセスできるようになる製品で、これなら重要なデータを入れておいても、万が一、紛失したり盗難されたりしたときに、データが流出する恐れが低くなる。
これはこれで便利なのだが、物理的なサイズが少し大きいので、装着するUSBポートによっては使いにくいことがあった。
そこで、今回、購入してみたのが、KINGMASの「指紋USBメモリー」だ。Amazon.co.jpでは32GB版が4800円(税込)で購入できる。
■本体はコンパクト、Windows専用ツールで最大10人までの指紋を登録
それでは、製品をチェックしていこう。
本体サイズは、18×67×7mm(幅×奥行×高さ)で、重量は18.1g。金属筐体なのでかなり重めだが、USBメモリーとしては少し大きめといった程度で、一般的なサイズと言える。
もしかすると、2018年末にニュース記事を掲載しているPQI Japanの「マイロッキー・フラッシュ」を思い浮かべる人もいるかもしれない。製品としてはおそらく同一と考えられ、見た目もそっくりだが、指紋管理用のソフトウェアも同じだ。
外見で特徴的なのは、やはり指紋リーダーだろう。本体上部に四角形のリーダー部分が搭載されており、ここに指を置くことで、指紋を認識させることができる。
使い方は簡単で、まず普通にPCのUSBポートに装着する。
この状態で、指紋管理用ツールとマニュアルが保存された領域と、セキュリティなしの通常の領域(10GB)がPCにマウントされる。
先に挙げたセンチュリーの「Lock U」は、パスコードを入力しない限り、PCに全く認識されなかったが、本製品は指紋認証を行なったかどうかに関係なく、この2つの領域にアクセス可能だ。このため、セキュリティなしの10GBの領域であれば、普通のUSBメモリーとして、そのまま使うことができる。
指紋認証を利用するには、もう1つの領域に保存されている指紋管理ツールで、指紋を登録する必要がなる。
本製品は、WindowsだけでなくmacOSからも指紋認証で保護された領域を利用可能だ。しかし、このツールだけはWindows用となっているため、必ずWindowsで初期設定を実行する必要がある。
管理ツールそのものを保護するためのパスワードを設定後、ユーザー名を指定して、指紋を登録する。少しずつずらしながら指紋リーダーに数回、指を押し当てて登録しておけばいい。
準備は、これで完了だ。後はUSBメモリーに指紋を読み込ませればいい。PCのUSBポートに接続した後、リーダー部分に指を軽く置くと認証され(LEDが緑に変わる)、PC上に保護された領域が新しいドライブとして認識されるはずだ。
指紋認証のスピードが非常に速いのにも感心したが、認識の精度も高い。USBメモリーは、PCによって装着する方向が変わるが、それも想定済みだ。四角いリーダー上にどの方向から指を当ててみても、登録した指紋を正確に認識してくれるという非常に賢い設計だ。
指紋も10人分を登録できるので、家族や会社のメンバーなど、複数の人で共有することも可能だ。パスコード方式と違って手軽で、しかも共有ができる点が、本製品のメリットと言えそうだ。
■書き込み速度は遅いが、実用上は問題ない
続いて、パフォーマンスをチェックしておこう。「CrystarlDiskMark 6.0.2」を使って、転送速度を計測したのが以下の画面だ。比較対象として、前述したセンチュリーの「Lock U」の値も掲載しておく。
これを見ると、読み込み性能は問題ないが、書き込みがかなり遅くなっている。CrystalDiskMark 6.0.3の標準設定は1GiBだが、転送量が多いと書き込みの計測ができなかったので、100MiBに変更して計測している。この手の製品は、書き込み性能が期待できない場合が多いが、本製品も、ベンチマークテストの結果はあまり優秀とは言えない。
ただし、この結果に失望する必要はない。USBメモリーの利用シーンを考えると、実用時に効いてくるのはシーケンシャルの書き込みの結果だ。今回の製品では、通常領域が18.48MB/s、保護領域が38.9MB/sなので、これくらいの速度が出ていれば、実用上は全く問題ないだろう。
実際、45MBほどあるPowerPointのファイルをコピーしてみたが、ストップウォッチ計測では3.2秒ほどでサクッとコピーできた。600MBほどのビデオファイルでも20.57秒だったので、実用上は問題にならないスピードと言えそうだ。
なお、領域はすべてFAT32となっており、4GB以上のファイルは保存できない。
■PCにつながなくともパスコードでロック解除できる製品との使い分けが悩ましい
というわけで、今回試したKINGMASの指紋USBメモリーだが、手軽さという点では、かなりよくできている。認証は速いし、方向も気にせず使えるし、場合によっては共有もできるので、使い勝手としては悪くないだろう。
Lock Uはバッテリー搭載で、USBポートにつながなくてもロックを解除できるため、例えば外出先で、「このUSBメモリーにデータ入れてください」とお願いするときに、ロックを解除した状態で相手に渡すことができる。しかし、本製品は、相手のPCにつないだ状態で指紋認証しなければならないでの、こうした使い勝手の点で制限がある。
不特定多数の第三者を相手として使うなら、Lock Uの方が便利な場面が多いかもしれない。しかし、自分や家族、同僚といった近しい範囲で使うなら、今回の製品の方が便利だろう。
■セキュリティUSBメモリーの認証方式は、パスコードから指紋へ?
最近では、どこでもネットワークにつながる環境が増えてきたこともあり、データはすっかりクラウド経由でダウンロードすることが多くなった。
仕事のデータのやりとりもそうだし、打ち合わせの資料を持ち歩くときもクラウドに保存しておいて現地でダウンロードするという使い方が、すっかり定着した。
しかしながら、打ち合わせの場所によっては、LTEの受信状況があまりよくなかったり、やたらとWi-Fiが遅かったりすることも珍しくない状況で、必要なデータをなかなかダウンロードできなかったりもする。
打ち合わせの最中に、とっさに必要になったデータをダウンロードしようとしても、なかなかダウンロードが完了せず、「ちょっとまってください……」などと気まずい空気が流れる、という状況を経験をした人も少なくないだろう。
というわけで、筆者自身も重要な打ち合わせのときには、以前の本連載でも触れたセンチュリーのパスコード入力型USBメモリー「Lock U(CSUL16G)」を使って、データを持ち運ぶようにしてきた。
本体のボタンを使ってパスコードを入力すると、USBメモリーのデータ領域にアクセスできるようになる製品で、これなら重要なデータを入れておいても、万が一、紛失したり盗難されたりしたときに、データが流出する恐れが低くなる。
これはこれで便利なのだが、物理的なサイズが少し大きいので、装着するUSBポートによっては使いにくいことがあった。
そこで、今回、購入してみたのが、KINGMASの「指紋USBメモリー」だ。Amazon.co.jpでは32GB版が4800円(税込)で購入できる。
■本体はコンパクト、Windows専用ツールで最大10人までの指紋を登録
それでは、製品をチェックしていこう。
本体サイズは、18×67×7mm(幅×奥行×高さ)で、重量は18.1g。金属筐体なのでかなり重めだが、USBメモリーとしては少し大きめといった程度で、一般的なサイズと言える。
もしかすると、2018年末にニュース記事を掲載しているPQI Japanの「マイロッキー・フラッシュ」を思い浮かべる人もいるかもしれない。製品としてはおそらく同一と考えられ、見た目もそっくりだが、指紋管理用のソフトウェアも同じだ。
外見で特徴的なのは、やはり指紋リーダーだろう。本体上部に四角形のリーダー部分が搭載されており、ここに指を置くことで、指紋を認識させることができる。
使い方は簡単で、まず普通にPCのUSBポートに装着する。
この状態で、指紋管理用ツールとマニュアルが保存された領域と、セキュリティなしの通常の領域(10GB)がPCにマウントされる。
先に挙げたセンチュリーの「Lock U」は、パスコードを入力しない限り、PCに全く認識されなかったが、本製品は指紋認証を行なったかどうかに関係なく、この2つの領域にアクセス可能だ。このため、セキュリティなしの10GBの領域であれば、普通のUSBメモリーとして、そのまま使うことができる。
指紋認証を利用するには、もう1つの領域に保存されている指紋管理ツールで、指紋を登録する必要がなる。
本製品は、WindowsだけでなくmacOSからも指紋認証で保護された領域を利用可能だ。しかし、このツールだけはWindows用となっているため、必ずWindowsで初期設定を実行する必要がある。
管理ツールそのものを保護するためのパスワードを設定後、ユーザー名を指定して、指紋を登録する。少しずつずらしながら指紋リーダーに数回、指を押し当てて登録しておけばいい。
準備は、これで完了だ。後はUSBメモリーに指紋を読み込ませればいい。PCのUSBポートに接続した後、リーダー部分に指を軽く置くと認証され(LEDが緑に変わる)、PC上に保護された領域が新しいドライブとして認識されるはずだ。
指紋認証のスピードが非常に速いのにも感心したが、認識の精度も高い。USBメモリーは、PCによって装着する方向が変わるが、それも想定済みだ。四角いリーダー上にどの方向から指を当ててみても、登録した指紋を正確に認識してくれるという非常に賢い設計だ。
指紋も10人分を登録できるので、家族や会社のメンバーなど、複数の人で共有することも可能だ。パスコード方式と違って手軽で、しかも共有ができる点が、本製品のメリットと言えそうだ。
■書き込み速度は遅いが、実用上は問題ない
続いて、パフォーマンスをチェックしておこう。「CrystarlDiskMark 6.0.2」を使って、転送速度を計測したのが以下の画面だ。比較対象として、前述したセンチュリーの「Lock U」の値も掲載しておく。
これを見ると、読み込み性能は問題ないが、書き込みがかなり遅くなっている。CrystalDiskMark 6.0.3の標準設定は1GiBだが、転送量が多いと書き込みの計測ができなかったので、100MiBに変更して計測している。この手の製品は、書き込み性能が期待できない場合が多いが、本製品も、ベンチマークテストの結果はあまり優秀とは言えない。
ただし、この結果に失望する必要はない。USBメモリーの利用シーンを考えると、実用時に効いてくるのはシーケンシャルの書き込みの結果だ。今回の製品では、通常領域が18.48MB/s、保護領域が38.9MB/sなので、これくらいの速度が出ていれば、実用上は全く問題ないだろう。
実際、45MBほどあるPowerPointのファイルをコピーしてみたが、ストップウォッチ計測では3.2秒ほどでサクッとコピーできた。600MBほどのビデオファイルでも20.57秒だったので、実用上は問題にならないスピードと言えそうだ。
なお、領域はすべてFAT32となっており、4GB以上のファイルは保存できない。
■PCにつながなくともパスコードでロック解除できる製品との使い分けが悩ましい
というわけで、今回試したKINGMASの指紋USBメモリーだが、手軽さという点では、かなりよくできている。認証は速いし、方向も気にせず使えるし、場合によっては共有もできるので、使い勝手としては悪くないだろう。
Lock Uはバッテリー搭載で、USBポートにつながなくてもロックを解除できるため、例えば外出先で、「このUSBメモリーにデータ入れてください」とお願いするときに、ロックを解除した状態で相手に渡すことができる。しかし、本製品は、相手のPCにつないだ状態で指紋認証しなければならないでの、こうした使い勝手の点で制限がある。
不特定多数の第三者を相手として使うなら、Lock Uの方が便利な場面が多いかもしれない。しかし、自分や家族、同僚といった近しい範囲で使うなら、今回の製品の方が便利だろう。
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