富士通クライアントコンピューティング(FCCL)から、15.6型ノートPC「FMV LIFEBOOK TH77/E3」(以下、TH77)が発売されました。TH77は家庭のリビングで使うことを想定したノートPCで、HDMI出力を備えた充電スタンドが付属するのが特徴。リビングのテレビに画面を出力しつつ、ワイヤレスキーボードを用意することで、デスクトップPCのようにも使えます。
今回、TH77(店頭予想価格は税別192,280円前後)について、スペックや特徴、使い勝手、パフォーマンスなどを含めたレビューをお届けします。
1.39kg軽量スリムボディのリビングPC
最新のLIFEBOOK THシリーズは、カタログモデル「TH77/E3」1モデルのみをラインナップ。ただしカラーバリエーションとして、インディゴブルーとアイボリーホワイトがあります。つやつやした外観ではなく、リビングとの調和を考えた布のようなテクスチャーデザインを、天板やパームレスト、本体側面に配置した「X-TEXTURE(クロステクスチャー)」を採用しています。
まずは、基本機能からチェックしてみましょう。CPUには第11世代Intel Core i7-1165G7(2.80GHz、最大4.7GHz)を搭載し、メインメモリは8GBで増設や交換は不可となっています。
ストレージには512GBのSSDを内蔵。なお、直販サイトで購入できるカスタムメイドモデルでは、256GBと1TBのSSDも選べます。メインメモリを増設できないのは残念なところで、これはカスタムメイドモデルも共通。オンボード8GBのみです。
ディスプレイには15.6型の狭額縁IGZO液晶を採用。シャープ製のIGZO液晶は高色純度で広視野角、とても鮮やかな映像が表現できました。解像度は1,920×1,080ドットのフルHDです。
本体サイズは幅360×奥行235.5×高さ18.4mm、本体の重さは1.39kg。15.6型ということを考えると、軽量薄型ボディといってもいいでしょう。バッテリー駆動時間の公称値は約13.2時間です(JEITA2.0)。
独自構造の充電スタンド
続いてインタフェースや付属品などを確認。 本体右側面には、マイク入力・ヘッドホン出力・ラインイン・ラインアウト・ヘッドセット兼用端子と、 Thunderbolt 4(USB 4 Gen3 Type-C)コネクタ×2基が並びます。ヒンジ側のUSB Type-Cコネクタの左右には、充電スタンドとドッキングするためのガイド穴があります。
本体左側側面には、 USB 3.2 (Gen1 Type-A コネクタ×1基と、SD/SDHC/SDXCメモリーカードスロットがあります。 USBメモリや様々な周辺機器に使うUSB Type-Aが1つなのは気になる点かもしれません。使い方にもよりますが、複数のUSB Type-Aコネクタを持つセルフパワー型のUSBハブを用意しておくと安心です。セルフパワー型とはACアダプタでUSBハブに電源を供給するタイプで、USBハブから周辺機器への電源供給に余裕があります。一方、PC側のUSBポートからの電力だけで動作するUSBハブは、バスパワー型といいます。
このほか、ディスプレイ上部にWindows Hello対応の顔認証対応Webカメラを配置。内蔵マイクはカメラの左右と本体底面に合計4つを備えています。Bluetooth接続のワイヤレスマイクも付属です。
リビングのテレビへ手軽に画面出力
そして最大の特徴となるのが充電スタンドです。コの字型フォルムをした充電スタンドは、本体右側面を挟み込むように差し込む仕組み。コの字の内部(充電スタンド正面)にUSB Type-Cコネクタとガイド(突起)があり、TH77をしっかりと固定します。
充電スタンドの側面(外側)には、HDMI出力とUSB Type-Cコネクタ。このUSB Type-Cに、付属のACアダプタをつないでおくと、TH77を差し込んだときに充電できます。
さらに面白いのが、というかこれがメインの機能でもあるのですが、充電スタンドのHDMI出力とテレビのHDMI入力を接続しておくわけです。すると、充電スタンドにTH77をセットするだけで、TH77の画面をテレビに出力できます。家族と一緒に、TH77でアクセスするYouTubeやNetflix、TH77に保存した写真や動画を大画面テレビで楽しめるというわけ。
また、富士通のPCに共通でセットアップされている音声アシスタント「いつもアシストふくまろ」も使えます。
TH77を充電スタンドにセットした状態で、ふくまろとの会話に対応。またはTH77がスリープ状態でも音声によるコマンドを受け付け、YouTubeを開いたり、天気を確認するといった音声操作が可能です。
ただ、音声の認識精度は、まだまだ、といった印象。Amazon EchoやGoogle Homeと比べるといまひとつで、今後に期待です。
一方でHDMIによる大画面出力は便利。特に、インターネット接続できるスマートテレビが対応していないサービスを大画面で楽しみたいときにぴったり。別途、ワイヤレスキーボードを用意すれば、デスクトップPCのようにも使えます。なお、TH77は本体にHDMI端子を搭載していません。デュアルディスプレイ環境を作るには、本体右側面のUSB 4 Gen3 Type-Cコネクタに変換アダプタ(USB Type-CのDisplayPort信号をHDMI出力に変換、別売)を取り付ける必要があります。
シンプルデザインで打ちやすいキーボード
ノートPCとしての使い勝手を改めてチェックしましょう。まずはキーボードです。キートップはかな文字表記がなく、シンプル。キーピッチは18.4mmと、フルサイズ(19mm)にはほんの少し足りませんが、カーソルキーのレイアウトや、テンキーをわずかに離して配置するといった工夫によって、快適にタイピングできました。
隠れたポイントとしては、文字キーとエンターキーなどで押す重さ(押下圧)がわずかに異なる2段階の押下圧を採用していること。体感するほどの違いはないかもしれませんが、小指で軽くエンターキーを押せるのは快適でした。
Core i7によるCPUパワーが魅力
最後に、ベンチマークソフトでTH77のパフォーマンスをチェックします。TH77のCPUは、4コア8スレッド、1.20~4.70GHzで動作する「Intel Core i7-1165G7」です。CINEBENCH R23では「5098pt」と高いスコアを記録。ただ、3Dグラフィックベンチマーク「3DMark」のTime Spyは「919」とちょっと低めでした。
リビングテレビと組み合わせ使い方がオススメ
TH77は、1kg台の軽さで気軽に家の中を持ち運べるスタンダードPCです。リビングでも寝室でも、ダイニングテーブルでも、日々軽快に使えるでしょう。処理性能は特に高いとはいえませんが、オフィスアプリなどはもちろん、動画視聴といったコンテンツを楽しむにもまったく問題ありません。
そして一番のポイントは、やはり充電スタンドの存在。リビングのテレビと充電スタンドをHDMIでつないでおくと、TH77の画面をサクッとテレビ出力できます。インターネット接続に対応した最新のスマートテレビなら、主要な動画サービスはTH77をつながなくても利用できますが、TH77ならChromeのアドインを使って、NetflixやYouTubeを倍速で再生したり、スマートテレビが対応していない映像サービスを大画面で視聴したりと、PCならではの使い方がリビングのテレビでできるようになります。
また、TH77の液晶ディスプレイはフルHD解像度(1,920×1,080ドット)ですが、充電スタンドからのHDMI出力なら4K画質で表示できるのも魅力(4Kテレビが必要)。4Kの高解像度なら、子どもが学校に行っている間のリモートワークに使うのもよさそうです。
TH77の実勢価格は税込20万円前後(2020年11月下旬時点)と、同クラスの製品と比べてコストパフォーマンスに優れているとはいえません。ですが、リビングでスマートに使える提案や、大型テレビへと手軽に画面出力できるのは便利。筆者の場合、小学生の子どもにPCを使わせるときテレビに画面を出すと、何を見ているのか分かるのがよかったです。リビングユース中心の家族共有ノートPCとして、候補にしてみてはいかがでしょうか。
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